「システムを作りたいけど、そもそもどうやって作るのか分からない」「スクラッチ開発とパッケージ導入って何が違うの?」——システム開発を検討し始めると、こうした疑問にぶつかる方は多いです。
実は、システムの「構築方法」には大きく5つの選択肢があり、それぞれコスト・期間・自由度・運用のしやすさが大きく異なります。この選択を間違えると、「費用をかけたのに使いにくい」「すぐに限界が来た」という事態になりかねません。
この記事では、5つの構築方法をそれぞれ分かりやすく解説し、自社にはどれが向いているかを判断するための考え方をお伝えします。
構築方法1:スクラッチ開発
「ゼロからコードを書いて作る、最も自由度の高い方法」
スクラッチ開発とは、既成のソフトウェアやテンプレートを使わず、エンジニアがゼロからプログラムを書いてシステムを構築する方法です。料理で例えるなら、食材を一から仕入れて調理する「フルオーダーのコース料理」のようなイメージです。
最大の特徴は、自社の業務に完全に合わせた仕様で作れることです。他の方法では実現できない独自の機能や複雑な業務ロジックも、スクラッチなら対応できます。
メリットは自由度の高さです。画面のデザイン・機能・他システムとの連携方法まで、すべてを自社の要望通りに設計できます。また、完成したシステムは自社の資産になるため、長期的な視点ではコストパフォーマンスが高くなるケースもあります。
デメリットは、費用と期間がかかることです。設計から開発・テストまですべて行うため、数ヶ月〜1年以上の開発期間と、数十万円〜数百万円以上の費用が発生することが一般的です。また、納品後の保守・改修も継続的なコストとして発生します。
自社独自の業務フローがあり、既成のシステムでは対応できない、長期的に使い続けることを前提とした基幹システムを作りたい——そういった案件に向いています。競合他社との差別化につながるシステムや、自社の強みそのものをシステム化したい場合にも最適です。
構築方法2:パッケージ導入
「すでに完成した製品をそのまま使う方法」
パッケージ導入とは、開発会社があらかじめ作った汎用的なソフトウェアを購入・契約して使う方法です。先ほどの料理の例えで言えば、「出来合いの弁当を買ってくる」イメージです。
勤怠管理・給与計算・会計・在庫管理など、多くの業務カテゴリに専用のパッケージソフトが存在します。代表的なものとしては、会計ソフトの「freee」や「弥生会計」、勤怠管理の「KING OF TIME」などがあります。
メリットは、導入の早さとコストの低さです。すでに完成しているソフトを使うため、スクラッチ開発のような開発期間が不要です。クラウド型のサービスであれば月額数千円〜数万円程度で使い始められるものも多く、初期投資を大幅に抑えられます。また、多くのユーザーに使われている実績があるため、品質面での安心感もあります。
デメリットは、自社の業務フローに完全には合わない可能性があることです。「7割は使えるけど、3割は合わない」という状況になることも多く、その場合はシステムに合わせて業務のやり方を変える必要があります。また、他社も同じシステムを使うため、システムによる差別化はできません。
業界標準の業務フローで運用できる、まずは低コストで導入してみたい、短期間で使い始めたい——そういった案件に向いています。特に、会計・勤怠・経費精算などの管理業務系は優れたパッケージが多く、スクラッチで作る必要性が低いケースがほとんどです。
構築方法3:カスタマイズ開発
「パッケージをベースに自社向けに改修する方法」
カスタマイズ開発とは、既存のパッケージソフトやフレームワークをベースにしながら、自社の業務に合わせて機能を追加・変更する方法です。料理で例えれば「既製品の弁当に、自分の好みのおかずを追加する」イメージです。
スクラッチ開発とパッケージ導入の中間に位置する方法で、両者のメリットを組み合わせたアプローチです。
メリットは、スクラッチよりも低コスト・短期間で、パッケージよりも自社の業務に合わせやすいことです。ベースとなるシステムがすでにあるため、ゼロから作るよりも開発工数を大幅に削減できます。
デメリットは、ベースとなるパッケージの制約を受けることです。「ここをこう変えたい」という要望が、パッケージの仕様上対応できないケースがあります。また、パッケージのバージョンアップ時に、カスタマイズ部分との互換性が問題になることもあります。
パッケージでは8割くらい対応できるが、自社独自の業務フローが一部ある、スクラッチほどの予算はないが、ある程度自社仕様に合わせたい——そういった案件に向いています。業種特化型のパッケージが存在する業界(不動産・医療・飲食など)では特に有効な選択肢です。
構築方法4:ノーコード・ローコード
「コードをほぼ書かずに画面操作だけでシステムを作る方法」
ノーコードとは、プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップや設定画面の操作だけでシステムやアプリを構築できるツールを使う方法です。ローコードはわずかなコードを書くことでより高度な機能を実現する方法で、ノーコードの発展版として位置づけられます。
代表的なツールとしては、業務アプリ作成の「kintone」、データベース型の「Airtable」、自動化ツールの「Zapier」「Make」などがあります。
メリットは、スピードとコストです。ツールによっては数日〜数週間で動くシステムを作れるため、「まず試してみたい」という場合に最適です。また、社内の担当者がある程度自分でメンテナンスできるため、開発会社への依存度を下げられます。
デメリットは、ツールが提供する範囲内での構築に限られることです。複雑な業務ロジックや、大量データの処理、高度なセキュリティ要件が必要な場合には対応できないことがあります。また、ツールの提供終了や料金改定のリスクもゼロではありません。
まず小さく試してみたい、シンプルな業務の効率化を低コストで実現したい、社内で自分たちが管理・運用したい——そういった案件に向いています。本格的なシステムに移行する前の「プロトタイプ」として活用するアプローチも有効です。
構築方法5:クラウドサービス活用
「専門サービスを組み合わせて使う方法」
クラウドサービス活用とは、SaaS(Software as a Service)と呼ばれるインターネット経由で使えるサービスを複数組み合わせて、自社の業務環境を構築する方法です。顧客管理はSalesforce、チャットはSlack、ファイル管理はGoogle Drive——というように、得意な機能を持つサービスを組み合わせます。
メリットは、それぞれの分野で最高水準のサービスを使えることです。開発会社に頼まなくてもすぐに使い始められ、利用者数や機能を柔軟に増減できます。セキュリティや機能アップデートもサービス提供会社が行うため、社内の管理負担が少ないです。
デメリットは、複数のサービスを連携させる際の手間とコストです。サービス間でデータが連携されていない場合、手動での転記が発生したり、連携ツールの追加導入が必要になることがあります。また、月額費用が積み重なり、長期的にはコストが高くなるケースもあります。
自社開発の予算がない、まず既存の優れたサービスを組み合わせて使いたい、スモールスタートで始めて徐々に拡張したい——そういった場合に向いています。特に、従業員数が少ない創業初期の企業や、特定の業務だけを効率化したい場合に有効です。
どの構築方法を選べばいいか——判断のための5つの問い
問い1:自社独自の業務フローがあるか? 他社にはない独自の業務ロジックがあるならスクラッチ、標準的な業務であればパッケージやクラウドサービスで十分対応できることが多いです。
問い2:予算と期間はどのくらいか? 予算が限られていて早く導入したいならパッケージ・ノーコード・クラウドサービス、ある程度の予算と期間をかけられるならスクラッチやカスタマイズが選択肢になります。
問い3:長期的に使い続けるシステムか? 5年・10年と使い続けることを前提にするなら、自社資産として持てるスクラッチが向いています。短期的な業務改善や試験的な導入ならノーコードやクラウドサービスが適しています。
問い4:社内にIT担当者がいるか? 社内にシステムを管理できる人材がいない場合は、保守負担が少ないパッケージやクラウドサービスが現実的です。スクラッチ開発では納品後の保守を開発会社に依頼し続ける必要があります。
問い5:まず試してみたいか、確実に作り込みたいか? 試験的に始めたいならノーコードやクラウドサービスでスモールスタート、最初から本格的なシステムが必要なら最初からスクラッチやカスタマイズを選ぶ方が結果的にコストを抑えられることもあります。
まとめ:構築方法の選択が、システム開発の成否を左右する
システムの構築方法は、見た目には分かりにくい部分ですが、コスト・期間・使いやすさ・将来性に直結する重要な選択です。「とりあえずスクラッチで」「パッケージで十分だろう」という思い込みで選ぶのではなく、自社の課題・予算・将来のビジョンを踏まえた上で最適な方法を選ぶことが大切です。
「自社にはどの構築方法が合っているか分からない」という段階からでも、シスナビでは丁寧にヒアリングを行い、最適な構築方法をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。