「システム開発を依頼しようと思って調べたら、アジャイルとかウォーターフォールとか聞き慣れない言葉が出てきて混乱した」そんな経験はありませんか。

システム開発には、プロジェクトをどう進めるかという「開発手法」がいくつか存在します。どの手法を選ぶかによって、費用・期間・完成品の質・途中での変更のしやすさが大きく変わります。開発会社任せにしてしまうと、自社に合わない手法で進んでしまい、後悔するケースもあります。

この記事では、代表的な5つの開発手法をそれぞれ分かりやすく解説し、自社にはどれが向いているかを判断するための考え方をお伝えします。

手法1:ウォーターフォール開発

一言で言うと「順番通りに進める、最も伝統的な手法」

ウォーターフォール(滝)という名前の通り、水が上から下へ流れるように、工程を順番に進めていく手法です。要件定義→設計→開発→テスト→納品という流れで、前の工程が完了してから次の工程に進みます。

最大の特徴は、最初に仕様をすべて決めてから開発に入る点です。そのため、完成形のイメージが明確で、途中で仕様変更が発生しにくい案件に向いています。

メリットは、スケジュールと費用の見通しが立てやすいことです。工程ごとに成果物が明確なため、進捗管理がしやすく、発注者側も状況を把握しやすいです。

一方、デメリットは変更への対応が難しいことです。開発が始まってから「やっぱりこの機能を変えたい」となると、手戻りが大きくなり、費用と時間が余計にかかります。また、完成品を見るのが納品直前になるため、「思っていたものと違う」というリスクもあります。

フローが固まっている案件に向いている

要件が最初から明確に決まっている、仕様変更の可能性が低い、予算とスケジュールをしっかり管理したい——そういった案件に適しています。たとえば、既存の紙業務をそのままシステム化するような、業務フローが固まっているケースに向いています。

手法2:アジャイル開発

一言で言うと「短いサイクルで作って確認を繰り返す手法」

アジャイルとは「素早い・機敏な」という意味の英語です。その名の通り、短い期間(通常1〜4週間)で開発と確認を繰り返しながら、少しずつシステムを完成させていく手法です。

最大の特徴は、途中での仕様変更や追加に柔軟に対応できることです。最初にすべてを決めるのではなく、動くものを見ながら「ここを変えたい」「この機能を追加したい」という判断をリアルタイムでできます。

メリットは、完成形に近いものを早い段階で確認できることです。ユーザーの反応を見ながら改善を重ねられるため、実際に使われるシステムを作りやすいです。

デメリットは、最終的な費用と期間が読みにくいことです。変更を繰り返すうちに当初の予算を超えてしまうリスクがあります。また、発注者側も積極的に関与し続ける必要があるため、担当者の時間と労力が求められます。

試行錯誤したい案件に向いている

要件が最初から完全には決まっていない、使いながら改善していきたい、新しいサービスやアプリを試行錯誤しながら作りたい——そういった案件に適しています。スタートアップの新規サービス開発や、ユーザーの反応を見ながら育てていくWebサービスなどによく使われます。

手法3:スクラム

一言で言うと「アジャイルを具体的な役割とルールで実践する手法」

スクラムはアジャイル開発の考え方を実践するための具体的なフレームワーク(枠組み)です。「スプリント」と呼ばれる1〜2週間の開発サイクルを繰り返しながら進めます。

スクラムには明確な役割分担があります。プロダクトオーナー(何を作るかを決める人)、スクラムマスター(チームの進行を支援する人)、開発チームの3つの役割が定義されており、毎日短いミーティングを行いながら進捗を共有します。

メリットは、チーム全員が現状を把握しながら進められることです。問題が起きたときに早期に発見・対処できるため、大きなトラブルに発展しにくいです。

デメリットは、スクラムの進め方に慣れていないチームには導入の難易度が高いことです。発注者側にもある程度の知識と関与が必要になります。

改善しながらの案件に向いている

 長期間にわたる開発プロジェクトで、継続的な改善を重視したい場合に向いています。社内に開発に詳しい担当者がいて、開発チームと密に連携できる環境がある場合に特に効果を発揮します。

手法4:スパイラル開発

一言で言うと「小さく作って確認を繰り返し、完成に近づける手法」

スパイラル(螺旋)という名前の通り、設計→開発→評価→改善というサイクルを螺旋状に繰り返しながら、徐々に完成度を高めていく手法です。

アジャイルと似ていますが、スパイラル開発はリスク管理を重視する点が特徴です。各サイクルの最初にリスクを分析し、問題が発生しそうな部分を早期に特定して対処します。大規模で複雑なシステム開発に用いられることが多い手法です。

メリットは、リスクを早期に発見・対処できることです。大きな問題が後から発覚することを防げます。

デメリットは、管理が複雑になりやすく、コストが高くなる傾向があることです。中小企業の一般的な業務システム開発よりも、大規模プロジェクトでの採用が多いです。

大規模案件に向いている

大規模かつ複雑なシステムで、リスクを慎重に管理しながら進めたい場合に向いています。中小企業の通常規模のシステム開発では、後述のプロトタイプ開発の方が現実的なケースが多いです。

手法5:プロトタイプ開発

一言で言うと「まず試作品を作って確認してから、本開発に進む手法」

プロトタイプとは「試作品」のことです。最初に簡易的な試作品を作り、発注者に実際に触ってもらって確認した上で、本格的な開発に進みます。

最大のメリットは、「思っていたものと違う」という完成後のミスマッチを防げることです。言葉や文書だけでは伝わりにくいイメージを、実際に動くものを見ながらすり合わせられるため、認識のズレが起きにくいです。

特にシステム開発が初めての発注者にとっては、完成形をイメージしにくいという問題があります。プロトタイプ開発はその不安を解消する有効な手段です。

デメリットは、試作品を作る工程が増える分、時間とコストが多少かかることです。ただし、完成後の大幅な修正コストを考えれば、プロトタイプに投資する方が結果的にコストを抑えられるケースが多いです。

試しながらの案件に向いている

 システム開発が初めてで完成形のイメージが固まっていない、操作性や画面デザインにこだわりたい、利用者の反応を見てから本開発に進みたい——そういった案件に特に向いています。

どの手法を選べばいいか——判断のための4つの問い

5つの手法を紹介しましたが、「結局どれを選べばいいか」と迷う方も多いはずです。次の4つの問いで整理してみてください。

問い1:要件はどのくらい明確か? 最初からすべての仕様が決まっているならウォーターフォード、まだ曖昧な部分があるならアジャイルやプロトタイプが向いています。

問い2:途中で仕様変更は起きそうか? 変更の可能性が高いならアジャイル系、変更が少ないならウォーターフォールが向いています。

問い3:完成形を早めに確認したいか? 早い段階で動くものを見たいならアジャイルやプロトタイプ、最終的な完成品で判断するならウォーターフォールでも対応できます。

問い4:どのくらい開発に関与できるか? アジャイルやスクラムは発注者の積極的な関与が必要です。関与できる時間が限られているならウォーターフォールの方が進めやすい場合もあります。

まとめ:手法の選択は開発会社と一緒に決めるのがベスト

開発手法は「これが正解」というものはなく、案件の性質や発注者の状況によって最適解が変わります。重要なのは、手法の名前を覚えることではなく、自社の案件にどんな進め方が合っているかを開発会社と一緒に考えることです。

最初の相談時に「どんな手法で進めますか?その理由は?」と質問してみるだけで、開発会社の提案力や誠実さが見えてきます。シスナビでは、お客様の案件内容や状況をヒアリングした上で、最適な開発手法をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。