「システムを納品してもらったら、毎月保守費用がかかると言われた。これって必要なの?」「保守費用として月○万円を払っているけど、実際に何をしてもらっているか分からない」——こうした疑問や不満を持つ方は非常に多いです。
システム開発において、保守費用は「納品後に発生し続けるコスト」として見落とされがちです。開発費用だけに注目して予算を組んでいると、納品後に想定外の出費が続いて困るケースも少なくありません。
この記事では、システムの保守費用とは何か、相場はどのくらいか、何をしてもらえるのかを分かりやすく解説します。保守契約を結ぶ前に、ぜひ読んでおいてください。
そもそも「保守」とは何か
システムの保守とは、納品されたシステムを安全・安定に動かし続けるために行う継続的な作業の総称です。
車を買った後も、定期的なオイル交換・車検・修理が必要なように、システムも納品されたら終わりではありません。時間が経つにつれて、OSのアップデートへの対応、セキュリティの脆弱性への対処、利用状況の変化に伴う調整など、様々な維持管理作業が発生します。
「うちのシステムはちゃんと動いているから保守は不要」と考える方もいますが、何も問題が起きていないように見えても、水面下でリスクが蓄積していることがほとんどです。保守とは、問題が起きてから対処するだけでなく、問題が起きないように予防する活動でもあります。
保守費用に含まれる主な内容
一口に「保守」と言っても、その内容は契約によって大きく異なります。一般的に保守費用に含まれる内容を整理します。
①バグ・不具合の修正
システムを運用していると、テスト段階では発見できなかった不具合が発生することがあります。特定の条件下でエラーが出る、データが正しく処理されないケースがある、といった問題への対応です。
保守契約があれば、こうした不具合の修正を追加費用なしで対応してもらえるケースが多いです。契約がない場合は、修正のたびに都度費用が発生します。
②セキュリティ対応
サイバー攻撃の手口は日々進化しており、新たな脆弱性が次々と発見されます。保守契約に含まれるセキュリティ対応では、こうした脆弱性への対処や、セキュリティパッチの適用などを行います。
個人情報や機密情報を扱うシステムでは、セキュリティ対応は特に重要です。保守なしで放置すると、情報漏洩のリスクが高まります。
③サーバー・インフラの管理
クラウド上で動いているシステムでは、サーバーの監視・管理・バックアップなどのインフラ維持が必要です。サーバーがダウンしていないか、異常なアクセスがないか、定期的なバックアップが取れているかなどを管理します。
④OSやライブラリのアップデート対応
システムが動いている環境(OSやフレームワーク)は定期的にアップデートされます。アップデートに対応しないと、セキュリティリスクが高まったり、最悪の場合システムが動かなくなることがあります。保守契約では、こうしたアップデートへの追従作業が含まれることが多いです。
⑤問い合わせ・サポート対応
「この操作方法が分からない」「エラーメッセージが出たがどうすればいいか」といった利用者からの問い合わせに対応するサポート窓口の提供も、保守契約に含まれることがあります。
保守費用の相場
保守費用の相場は、システムの規模・複雑さ・契約内容によって大きく異なります。一般的な目安として、次のような範囲が多いです。
開発費用に対する月額保守費用の割合で見ると、開発費用の1〜2%程度/月が一つの目安とされています。つまり、300万円で開発したシステムであれば、月額3〜6万円程度が一般的な相場感です。
ただし、これはあくまで目安であり、実際には次のような要因によって上下します。
サーバー費用が含まれるかどうか、対応時間(平日のみか24時間365日か)、問い合わせ対応の件数や範囲、改修・機能追加の対応が含まれるかどうか——これらによって、月額1万円以下のシンプルな契約から、月額数十万円の手厚い契約まで、幅広い価格帯が存在します。
保守契約の種類
保守契約には大きく2つのタイプがあります。
定額保守契約
毎月一定の費用を支払い、契約範囲内のサポートを受ける形式です。予算が読みやすく、何かあったときに追加費用なしで対応してもらえる安心感があります。最も一般的な契約形式です。
スポット対応(都度対応)
保守契約を結ばず、問題が発生したときだけ都度費用を払って対応してもらう形式です。問題が起きない月はコストゼロですが、問題が発生した際の費用が割高になりやすく、対応までに時間がかかることもあります。システムへの依存度が低い場合や、社内に対応できる人材がいる場合に向いています。
保守契約で注意すべき3つのポイント
保守契約を結ぶ際に、必ず確認しておくべきポイントがあります。
ポイント1:何が含まれて何が含まれないかを明確にする
「保守費用を払っているのに、修正費用を別途請求された」というトラブルはよくあります。バグ修正は含まれるか、機能追加は別途費用か、問い合わせ対応は何件まで無料か——こうした範囲を契約書に明記してもらうことが大切です。
特に「バグ修正」と「仕様変更」の境界線は曖昧になりやすいポイントです。「これはバグではなく仕様の変更なので別途費用です」と言われてもめることがないよう、事前に定義を明確にしておきましょう。
ポイント2:対応時間と対応速度を確認する
問題が発生したとき、どのくらいの速さで対応してもらえるかは重要です。業務に直結するシステムであれば、障害発生から数時間以内に対応してもらえる体制が必要です。
「平日9時〜18時のみ対応」という契約では、深夜や休日にシステムが止まった場合に対応してもらえません。自社のシステムの重要度に合わせて、対応時間を確認してください。
ポイント3:保守費用だけで判断しない
保守費用が安い契約が必ずしも得ではありません。対応が遅い、問い合わせへの返答が雑、問題が再発する——こうした質の低い保守は、結果的に業務への影響が大きくなります。
費用だけでなく、対応の質・スピード・担当者の知識レベルも含めて総合的に判断することが大切です。
「保守なし」はどれほど危険か
「とりあえず保守契約は結ばなくていい」という判断をする会社もあります。短期的なコスト削減としては分かりますが、リスクは決して小さくありません。
保守なしで運用を続けた場合に起きうることを具体的に挙げると、セキュリティの脆弱性が放置されて情報漏洩が発生する、OSやライブラリのアップデートに追従できずシステムが動かなくなる、障害が発生したときの対応に時間とコストが通常の何倍もかかる——こうした事態が現実に起きています。
特に、顧客情報・決済情報・個人情報を扱うシステムで保守なし運用は非常にリスクが高いです。「何も起きていないから大丈夫」という状態は、問題が可視化されていないだけで、リスクが蓄積し続けている状態です。
保守費用を適正に抑えるための考え方
保守費用を無駄なく、かつ適切に使うための考え方をお伝えします。
まず、システムの重要度によって保守レベルを変えることです。業務の中核を担うシステムは手厚い保守契約を結び、影響範囲が限定的なシステムはスポット対応で十分という判断もできます。
次に、定期的に保守契約の内容を見直すことです。導入当初は必要だったサポートが、数年後には不要になっている場合もあります。逆に、システムの利用範囲が広がって、より手厚いサポートが必要になることもあります。年に一度は契約内容を確認し、現状に合った内容に調整することをおすすめします。
まとめ:保守費用は「コスト」ではなく「保険」として考える
システムの保守費用は、毎月発生するコストとして捉えると「もったいない」と感じるかもしれません。しかし、保守とはシステムを安全・安定に動かし続けるための「保険」です。
何かが起きてから対処するよりも、起きないように予防し続ける方が、長期的には圧倒的にコストが低くなります。「保守費用がかかることは知っていたが、何をしてもらえるか分からなかった」という方は、まず現在の契約内容を開発会社に確認してみてください。
シスナビでは、システムの開発から納品後の保守まで一貫してサポートしています。保守内容や費用について不明な点がある方も、お気軽にご相談ください。