「もう10年以上同じシステムを使っている」「担当者が退職してしまい、誰もシステムの中身を把握していない」「古いパソコンでしか動かないので、そのパソコンを壊せない」——こうした状況に心当たりはありませんか?
社内システムの老朽化は、多くの中小企業が抱える共通の課題です。しかし「今のところ動いているから問題ない」と思っていると、ある日突然大きなトラブルに発展することがあります。この記事では、社内システムの老朽化が引き起こすリスクと、具体的な対応策をわかりやすく解説します。
社内システムの老朽化とはどういう状態か
老朽化したシステムは、ITの世界では「レガシーシステム」と呼ばれます。単純に「古い」というだけでなく、次のような状態を指します。
開発当時の技術や言語が現在のエンジニアに扱えるものではなくなっている、システムの仕様書や設計書が残っておらず誰も全体像を把握していない、現在のOSやブラウザとの互換性がなくなりつつある、保守サポートが終了したソフトウェアやOSの上で動いている——こうした状態が重なるほど、リスクは高まります。
経済産業省も「2025年の崖」として、老朽化したシステムの刷新が進まない場合、2025年以降に多くの企業が深刻な問題に直面すると警鐘を鳴らしてきました。これは大企業だけの話ではなく、中小企業にとっても他人事ではありません。
放置するとどんなリスクがあるか
老朽化したシステムをそのまま使い続けることには、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか。
リスク1:突然システムが動かなくなる
古いシステムは、OSやハードウェアのサポート終了を機に、突然動かなくなることがあります。特定の古いパソコンでしか動かないシステムの場合、そのパソコンが故障したときに業務が完全に止まってしまう、という事態が実際に起きています。バックアップも取れない状態になっていることが多く、データ消失のリスクも伴います。
リスク2:セキュリティの脆弱性が放置される
サポートが終了したOSやソフトウェアは、セキュリティの更新プログラムが提供されなくなります。つまり、新たに発見されたウイルスや不正アクセスの手口に対して、無防備な状態になるということです。顧客情報や取引データを扱うシステムであれば、情報漏洩のリスクは深刻です。
リスク3:業務効率が下がり続ける
老朽化したシステムは、現在の業務フローに合わせた改修が難しくなっています。新しいサービスとのデータ連携もできず、結果的に手作業での転記や二重入力が増えていきます。「仕方ない」と慣れてしまっていても、積み重なると膨大な時間と労力の無駄につながっています。
リスク4:属人化が進み、引き継ぎができない
システムに詳しかった担当者が退職や異動をすると、誰も操作方法や仕組みを説明できなくなるケースがあります。「あの人がいないと分からない」という状態は、組織にとって大きなリスクです。新しい社員の教育にも支障をきたし、業務の属人化がさらに進みます。
対応策1:まず現状を把握する
老朽化への対応を始める第一歩は、自社のシステムの現状を正確に把握することです。次のような項目を整理してみましょう。
いつ導入したシステムか、現在の開発・保守担当はどこか、OSやソフトウェアのサポートはいつまでか、システムの仕様書や設計書は残っているか、システムを理解している社員は何人いるか——これらを一覧にするだけで、どのシステムが最も緊急度が高いかが見えてきます。
対応策2:優先順位をつけて段階的に対応する
すべてのシステムを一度に刷新しようとすると、コストも期間も膨大になります。現実的なアプローチは、リスクの高いものから順に対応することです。
優先度が高いのは、サポートが終了しているまたは間もなく終了するOS・ソフトウェアの上で動いているシステム、業務への影響が大きいシステム、セキュリティリスクが高いシステムです。逆に、使用頻度が低く影響範囲が限定的なシステムは、後回しにしても許容範囲内のケースが多いです。
対応策3:刷新の方法を選ぶ
老朽化したシステムへの対応方法は、大きく3つあります。
一つ目は既存システムの改修・延命です。根本的な作り直しではなく、特に問題のある部分だけを直す方法です。コストを抑えられますが、あくまで一時的な対処になることが多いです。
二つ目はパッケージソフト・クラウドサービスへの移行です。すでに完成された製品に業務を合わせる形になりますが、導入コストを抑えながら最新の環境に移行できます。保守もサービス提供会社が行うため、社内の負担が減ります。
三つ目はフルスクラッチでの再開発です。自社の業務に完全に合わせたシステムをゼロから作り直す方法です。コストと時間はかかりますが、業務にぴったり合った使いやすいシステムが手に入り、長期的な視点では最も効果的な選択になることもあります。
対応策4:開発会社に相談して現状診断を依頼する
「どの対応策が自社に合っているか分からない」という場合は、システム開発会社に現状診断を依頼するのが有効です。現行システムの課題を専門家の目で整理してもらい、最適な改善案と費用感の見通しを出してもらうことで、社内での意思決定がしやすくなります。
診断だけであれば無料で対応している会社も多いため、「まだ具体的に動くつもりはないけど、現状を整理したい」という段階での相談も大歓迎です。
まとめ:老朽化対応は「壊れてから」では遅い
社内システムの老朽化は、壊れてから気づくのでは手遅れです。業務が止まってから慌てて対応すると、コストも時間も通常の何倍もかかることになります。「今は動いているから大丈夫」という状態のうちに、計画的に対応を進めることが重要です。
自社のシステムに不安を感じたら、まずは現状を棚卸しするところから始めてみてください。シスナビでは、現行システムの診断から刷新に向けたご提案まで、丁寧にサポートしています。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。