「開発会社との関係がうまくいかなくなった」「会社の事情でプロジェクトを中止せざるを得なくなった」「思っていた進め方と全然違う」——こうした理由で、システム開発を途中で止めたいと思う場面は実際に起こりえます。
しかし、「途中で解約したら費用はどうなるの?」という疑問に対して、正確に答えられる発注者はほとんどいません。知らないまま解約すると、想定外の費用請求を受けたり、逆に払いすぎていたお金を取り戻せなかったりすることがあります。
この記事では、システム開発を途中解約した場合の費用の考え方を、契約の種類別に分かりやすく解説します。
大前提:途中解約の費用は「契約の種類」で大きく変わる
途中解約したときの費用負担は、どんな契約を結んでいるかによって根本的に異なります。まず自分がどちらの契約を結んでいるかを確認してください。
請負契約の場合は「完成物に対して報酬を払う」契約です。準委任契約の場合は「作業に対して報酬を払う」契約です。この違いが、途中解約時の費用計算に直接影響します。
請負契約を途中解約した場合
請負契約では、発注者はいつでも契約を解除できます。ただし、解除によって開発会社に損害が生じた場合は、その損害を賠償する義務があります。
具体的には、解約時点までに開発会社が行った作業量に応じた費用を支払うことになります。たとえば、全体の開発費用が300万円で、解約時点で作業が50%完了していた場合、おおよそ150万円程度の費用負担が発生するイメージです。
ただし、これはあくまで一般的な考え方です。実際の費用は「どこまで作業が進んでいたか」の算定方法によって変わります。設計だけ完了していて開発未着手の場合、テストまで完了していた場合など、進捗の状況によって大きく異なります。
また、途中解約の原因が開発会社側にある場合——たとえば、著しい進捗の遅れや重大な契約違反——は、発注者側の費用負担が軽減されるか、場合によってはゼロになることもあります。
準委任契約を途中解約した場合
準委任契約では、発注者・開発会社のどちらからでもいつでも解約できます。費用は「解約時点までに行った作業量」に応じて発生します。
請負契約と異なるのは、完成責任がない点です。システムが未完成のまま解約されても、作業を行った分の費用は支払う必要があります。月額固定で開発チームを確保するラボ型開発では、契約期間中の費用を全額支払う必要があるケースもあります。
解約時に特に注意すべき3つのポイント
ポイント1:前払い金の返還
契約時に着手金や前払い金を支払っている場合、解約時にどこまで返還されるかを確認してください。進捗に応じた費用を差し引いた残額が返還されるのが原則ですが、契約書に「着手金は返還しない」と明記されている場合は返還されません。契約書の支払い条件を必ず確認しましょう。
ポイント2:成果物の引き渡し
解約時点までに完成している成果物——設計書、コード、テスト結果など——を引き渡してもらう権利があります。これらは費用を支払った対価として受け取れるものです。「解約するなら成果物は渡さない」という対応は原則として認められません。受け取った成果物を別の開発会社に引き継ぎ、開発を続けることも可能です。
ポイント3:解約通知の方法
口頭での解約通知はトラブルのもとです。解約の意思は必ず書面(メールでも可)で伝え、日付と内容を記録に残してください。後から「解約の話は聞いていない」「あの日から作業を続けたので追加費用が発生する」というトラブルを防ぐためにも、書面での通知は必須です。
途中解約を防ぐための事前対策
解約トラブルを避けるには、契約前の段階での準備が重要です。
契約書に「途中解約時の費用精算方法」を明記してもらいましょう。「解約時点での完成割合に応じた費用を支払う」「前払い金のうち未着手分は返還する」といった具体的な条件が書かれているほど、万が一の際に双方が納得しやすくなります。
また、定期的な進捗確認を行い、問題が小さいうちに開発会社と話し合うことも重要です。「なんとなく不安」という段階で相談することで、解約という最悪の事態を回避できることが多いです。
まとめ:途中解約は「できる」が、準備が肝心
システム開発の途中解約は、発注者の権利として認められています。しかし、解約時の費用負担や成果物の扱いは、契約内容によって大きく変わります。「いざとなれば解約すればいい」という発想ではなく、契約前に解約条件を確認しておくことが最大のリスク対策です。
現在進行中のプロジェクトに不安を感じている方、契約内容の確認をしたい方も、シスナビでは状況をヒアリングした上で適切なアドバイスをしています。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。