「うちはずっとタイムカードでやってきたから、今さら変える必要はない」「小さい会社だから、システムを入れるほどでもない」——こう思っている経営者や担当者の方に、ぜひ読んでいただきたい記事です。

実は、紙のタイムカードによる勤怠管理は、法律面・コスト面・リスク面において、じわじわと会社を圧迫する問題を抱えています。この記事では、紙のタイムカードを使い続けることのリスクと、デジタル化の具体的な選択肢を解説します。

紙のタイムカードが抱える5つの問題

問題1:集計に時間と手間がかかる

紙のタイムカードは、毎月末に担当者が一枚ずつ確認して手作業で集計する必要があります。社員が10名いれば10枚、30名いれば30枚——これを毎月繰り返すことにかかる時間を、年間で計算したことはありますか。

1人あたりの集計に5分かかるとして、30名の会社であれば月150分、年間で1800分(30時間)が集計作業だけで消えていきます。これは純粋な「作業コスト」であり、システム化によってほぼゼロにできる無駄です。

問題2:ミスが発生しやすい

手作業での集計は、ヒューマンエラーが避けられません。打刻漏れ、転記ミス、計算ミス——こうした小さなミスが、給与計算の誤りにつながります。給与の支払い額が間違っていた場合、社員との信頼関係に影響するだけでなく、修正のための追加作業も発生します。

問題3:法律への対応が難しくなっている

2019年の労働安全衛生法改正により、従業員の労働時間の客観的な把握が企業に義務付けられました。「客観的な方法」とは、タイムカードや勤怠システムのログなど、改ざんできない形での記録を指します。

紙のタイムカードは改ざんが容易であるため、法的な証拠能力が弱く、労働基準監督署の調査が入った際に不利になることがあります。また、残業時間の管理が不十分だと、未払い残業代の請求リスクも高まります。

問題4:テレワーク・直行直帰に対応できない

テレワークや直行直帰が増えた現代では、オフィスに設置されたタイムカードを毎日打刻することが難しくなっています。「テレワークの日は打刻できない」「直行直帰の日は始業・終業時刻が記録されない」という状況が続くと、労働時間管理がますます曖昧になっていきます。

問題5:有給休暇の管理が煩雑になる

2019年の法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される社員に対して、年5日以上の有給取得が企業に義務付けられました。取得状況の管理を紙ベースで行っている場合、誰があと何日取得する必要があるかを把握するだけで大きな手間がかかります。

デジタル化の選択肢は3つある

勤怠管理をデジタル化する方法は、大きく3つに分かれます。自社の規模・予算・業務の複雑さに応じて選択することが大切です。

選択肢1:クラウド型の勤怠管理サービスを導入する

最も手軽で導入コストが低い方法です。「KING OF TIME」「freee勤怠管理」「ジョブカン」などのクラウドサービスは、月額数百円〜数千円程度(1人あたり)で使い始められます。

スマートフォンやパソコンからの打刻に対応しているため、テレワークや直行直帰にも対応できます。給与計算ソフトとの連携機能を持つサービスも多く、集計から給与計算までの流れを自動化できます。

向いているケース:標準的な勤怠管理ができれば十分、予算を抑えたい、まず試してみたい——そういった会社に向いています。

選択肢2:既存の勤怠管理システムをカスタマイズして導入する

業種特有のシフト管理や、複雑な残業ルール、独自の休暇制度など、標準的なサービスでは対応できない要件がある場合は、パッケージソフトをベースにカスタマイズする方法があります。

製造業の交代勤務、介護施設の24時間シフト、建設業の現場ごとの労務管理など、業種によって勤怠管理のルールは大きく異なります。こうした複雑な要件には、カスタマイズ開発が有効です。

向いているケース:業種特有の複雑な勤怠ルールがある、既存のシステムとのデータ連携が必要——そういった会社に向いています。

選択肢3:自社の業務に完全に合わせたシステムをスクラッチで開発する

給与計算・人事管理・経費精算など、複数の業務を一つのシステムで一元管理したい場合や、自社独自の勤怠ルールが複雑すぎて既成のサービスでは対応できない場合は、スクラッチ開発(ゼロからの開発)が選択肢になります。

費用と期間はかかりますが、自社の業務フローに完全に合わせたシステムが手に入り、長期的な視点ではコストパフォーマンスが高くなるケースもあります。

向いているケース:既成のサービスでは対応できない独自の要件がある、複数の業務システムと統合したい、長期的に使い続ける基幹システムとして構築したい——そういった会社に向いています。

「うちの規模では大げさでは?」という誤解

「社員が10名程度の会社にシステムは必要ない」と思っている方は多いですが、実はこれは逆です。

小規模な会社ほど、一人ひとりの業務負担が大きく、同じ人が総務・経理・庶務を兼任しているケースが多いです。毎月の勤怠集計に2時間かかっているとしたら、その2時間は本来もっと重要な業務に使えるはずです。

クラウド型のサービスであれば、月額数千円程度から導入できます。担当者の時間コストを考えれば、十分に元が取れるケースがほとんどです。

デジタル化を進めるときの注意点

勤怠管理のデジタル化を進める際に、いくつか注意しておきたいポイントがあります。

まず、現場の社員を巻き込むことが重要です。「スマホ操作が苦手な社員がいる」「現場作業中は打刻が難しい」といった現場の実情を無視したシステムは、導入後に「使われないシステム」になりがちです。現場の声を集めた上で、使いやすい方法を選ぶことが定着率を上げる最大のポイントです。

次に、給与計算ソフトとの連携を確認することも大切です。勤怠データが給与計算に自動で反映されないと、二重入力の手間が発生します。導入前に、現在使っている給与計算ソフトとの連携が可能かどうかを確認しましょう。

まとめ:「今のままで大丈夫」が一番危ない

紙のタイムカードは、今日すぐに会社が傾くような問題ではありません。しかし、集計コストの無駄・法律対応のリスク・テレワーク非対応——これらの問題は、時間が経つほど深刻になっていきます。

「変えるのが面倒だから」という理由で先送りにし続けた結果、労務トラブルや未払い残業代の請求が発生してから慌てて対応するよりも、問題が小さいうちに手を打つことが賢明です。

「どんなシステムが自社に合っているか分からない」「まず何から始めればいいか相談したい」という方も、シスナビでは状況をヒアリングした上で最適な選択肢をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。